海外5か国教育アプリ調査:計算テスト成績上位層ほどオンライン学習・数学演習アプリ活用

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海外5か国教育アプリ調査:計算テスト成績上位層ほどオンライン学習・数学演習アプリ活用

公益財団法人スプリックス教育財団は、世界5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)の中学2年生を対象に「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施しました。この調査は、教育アプリの利用実態と計算力との関連性を明らかにすることを目的としています。2026年3月26日に発表された本報告書では、教育アプリの利用傾向や、成績層別の活用実態、人気アプリとその背景について詳細が示されています。

アプリ学習の利用目的と浸透状況

世界5か国の中学2年生を対象とした調査では、教育アプリの利用が国によって異なることが判明しました。南アフリカと中国ではアプリを「よく使っている」「時々使っている」と回答した生徒が90%を超え、学習ツールとして高い定着度を示しています。一方、フランスではその合計が約70%にとどまり、5か国の中で最も低い利用率でした。

利用目的については、すべての国で「オンライン学習」「数学の演習」「解答チェック」が上位を占めています。特にアメリカ、イギリス、中国では「オンライン学習」が最も多く選ばれており、時間や場所にとらわれず、個々のニーズに合わせた学習環境で学ぶ文化が根付いている可能性が示唆されます。

学習アプリの利用状況を示すグラフ

成績上位層における数学演習アプリの活用

計算能力とアプリ利用の関連性を分析するため、基本的な計算問題32問のテストが実施されました。その結果、南アフリカを除く4か国において、計算テストの成績上位層は下位層に比べ、数学の演習用アプリをより積極的に活用している傾向が明らかになりました。特にフランスでは、成績下位層の数学演習用アプリ未使用率が顕著でした。

また、イギリスでは勉強記録・管理アプリやオンライン学習の利用者に成績上位者が多い傾向があり、オンラインプラットフォームの活用が学習成果に影響を与えている可能性が示唆されます。

成績層別の学習アプリ利用状況を示すグラフ

ただし、これらの結果から「数学の演習アプリの利用が直接的に計算能力の向上をもたらした」と断定するには注意が必要です。学業成績は家庭の社会経済的背景(SES)と強い相関があることが知られており、成績上位層はデジタルデバイスや良質な学習コンテンツへのアクセスが容易であるため、アプリ利用率と成績の両方が高まっているという背景要因も考慮すべきでしょう。

人気教育アプリとその特徴

教育アプリ利用者を対象に、実際に利用しているアプリ名を自由記述形式で尋ねた結果、以下のアプリが上位に挙がりました。

教育アプリ利用に関する自由回答の集計結果(国別上位3件)

  • Duolingo:中国を除く4か国で共通して多く見られた外国語教育アプリです。2025年には算数・数学コースもリリースされており、今後の動向が注目されます。

  • Khan Academy:アメリカ、イギリス、南アフリカで多く挙げられました。講義動画と演習問題がセットになっており、正誤に応じて難易度が変化するアダプティブラーニングが特徴です。

  • Quizlet:アメリカ、フランス、南アフリカで人気があります。単語カードで効率よく学べるアプリで、教師が授業に活用することも可能です。

  • BBC Bitesize:イギリスで高い利用率を誇る公的教育に準拠した学習サイトです。学校の宿題として指定されることも多く、イギリスの生徒に深く根付いています。

  • PRONOTE:フランスの公立中学校・高等学校の9割が導入している学校生活管理用アプリです。時間割、宿題管理、成績閲覧、欠席連絡など、学校生活におけるあらゆる情報へのアクセスと連絡機能が集約されています。

  • 中国の教育アプリ(作业帮、猿輔導、学而思):中国では学習塾規制後、AIを搭載した学習用アプリや専用学習端末へのビジネスモデル転換が進みました。これらのアプリは、AIによる苦手分析や個別問題生成、思考プロセスのガイド機能などが支持されています。特にDeepSeekの高性能AIモデルを導入し、独自の進化を遂げています。

まとめ

今回の調査により、教育アプリの普及状況には国ごとに大きな差があること、そして多くの国で成績上位層ほど数学の演習アプリを積極的に活用している傾向が確認されました。ただし、この背景には家庭の社会経済的背景が影響している可能性も考慮する必要があります。

世界中で使われる共通のアプリがある一方で、中国のように独自の進化を遂げたアプリも存在します。特に、高性能AIモデルの導入により、単に答えを出すだけでなく、考え方のプロセスをガイドする機能が注目されます。

今後、生成AIのさらなる進化に伴い、教育アプリの役割や機能は劇的に変容していくことが予想されます。こうした世界の技術動向を注視し、先進的な事例をベンチマークとしながら、日本の教育アプリも独自の発展を続ける必要があるでしょう。同時に、デジタルツールの活用が真に学習者の学力向上に寄与しているか、その実効性についても継続的な調査と検証が求められます。

本報告は、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」に基づく第11回目の報告です。公益財団法人スプリックス教育財団は、今後も子どもの基礎学力に関して様々な分析を進めていく方針です。

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