AIモックアップ先行開発で要件定義の課題を解決:オーエムネットワークの実践レポート

未分類

従来の要件定義が抱える課題

従来のシステム開発における要件定義は、ドキュメントを中心に進められてきました。しかし、この手法には以下の構造的な課題が存在していました。

従来の開発とAIモックアップ先行開発の比較

手戻りコストの問題

文章中心の要件定義では、完成イメージの共有が困難であり、開発後半に「思っていたものと違う」という認識のずれが発覚し、手戻りが発生することが多くありました。これは顧客と開発会社双方にとって大きな負担となります。

見積に含められない工数の問題

要件定義前のヒアリングや認識合わせのための試行錯誤は、正式な見積に含めることが難しい作業です。しかし、この段階での丁寧なすり合わせを怠ると、後工程での手戻りリスクが高まるというジレンマがありました。

コミュニケーションの難しさ

技術的な専門用語を含む仕様書は、顧客の業務担当者にとって理解しづらく、必要な機能が正しく伝わっているかを確認することが困難でした。

これらの課題を解決し、より良いシステムをより早く提供するため、オーエムネットワーク株式会社はAI技術を活用した新しい開発手法の導入を決定しました。

AIモックアップ先行開発の実践事例

同社は2025年12月に小売業S社でAIモックアップ先行開発手法を実践しました。その具体的なプロセスは以下の通りです。

  1. 初回ヒアリング
    現地での打ち合わせ(40分)を通じて、現状の課題や困り事をヒアリングしました。このヒアリング内容に基づき、約3500文字のプロンプトを生成AIツール(Claude Code)に入力しました。

  2. AIによるモックアップ生成
    プロンプト投入後、実際に操作可能なモックアップが4画面分と1帳票分自動生成されました。ログイン画面、一覧画面、入力画面など、業務の流れを一通り確認できる構成です。

    R-Shift × Claude Code

  3. モックアップの修正・調整
    生成されたモックアップに対し、業務内容に合わせた調整・修正をClaude Codeにて実施しました。この修正に要した時間は約3時間です。

  4. モックアップを使った打ち合わせ
    初回ヒアリングから約2か月後、生成したモックアップを用いて担当者と打ち合わせを行いました。「文章を読んで理解する」のではなく「画面を見て確認する」形式だったため、「この項目は不要」「ここにこの情報も表示してほしい」「この操作の流れは業務と合わない」といった具体的なフィードバックが得られました。結果として、8割以上がイメージ通りであり、課題解決が見込めるとの評価を得ました。

導入によって得られた効果

本手法を受託開発案件に適用した結果、以下の効果が得られました。

  • 認識齟齬の早期解消
    視覚的な画面イメージを用いた打ち合わせにより、顧客との認識齟齬を要件定義段階で発見・解消できるようになりました。これにより、開発終盤での手戻りリスクを大幅に低減しています。

  • ヒアリング段階の生産性向上
    これまで見積に含めることが難しかったヒアリング段階の作業が、モックアップという成果物を伴うものに変わりました。顧客にとっても、早い段階で具体的な画面イメージを確認できることで、要件の整理や社内調整がしやすくなるというメリットが生まれています。

  • コミュニケーション品質の向上
    画面イメージという共通言語を持つことで、技術的な知識を持たない顧客の業務担当者とも、スムーズな意思疎通が可能となりました。専門用語を使わずに「この画面のここを変更したい」という具体的なやり取りができるため、打ち合わせの生産性が向上しています。

  • お客様満足度の向上
    早い段階で完成イメージを共有できることで、顧客に安心感を提供できるようになりました。「どんなシステムが出来上がるのか分からない」という不安を解消し、プロジェクト全体を通じて信頼関係を構築しやすくなっています。

今後の展開

オーエムネットワーク株式会社は、本手法を受託開発にとどまらず、以下の領域へ積極的に展開していく方針です。

  • 社内提案スキームへの組み込み
    新規案件の提案段階からモックアップを活用するスキームを構築し、具体的な画面イメージを即座に提示することで、提案の説得力を高めます。これにより、顧客の意思決定を支援し、受注率向上を目指します。

  • ソリューション開発への応用
    モックアップをベースとしたソリューション体系を構築し、開発の質とスピードをさらに高めます。業種・業態ごとの要望をパターン化し、モックアップのテンプレートとして蓄積することで、迅速かつ的確なソリューション提供を目指します。

  • ナレッジの蓄積と人材育成
    本手法で得られた知見を社内に蓄積し、要件定義・設計人材の育成に活用します。AIを効果的に活用できる人材を増やすことで、組織全体の開発力向上を図ります。

同社は、小売業を中心に多くの企業に利用されているシフト管理システム「R-Shift」の開発・提供で培った業務知見と、AI活用による開発手法の革新を組み合わせ、顧客のDX推進を力強く支援していく考えです。

オーエムネットワーク株式会社について

オーエムネットワーク株式会社は、業務システム開発、シフト管理システム「R-Shift」、勤怠管理システム「R-Kintai」などを手掛ける企業です。

CMN Outsourcing & Management Network

  • 会社名: オーエムネットワーク株式会社

  • 所在地: 新潟県新潟市中央区

  • 代表取締役社長: 山岸 真也

  • 事業内容: 業務システム開発、シフト管理システム「R-Shift」、勤怠管理システム「R-Kintai」

  • 提供Web: https://www.omnetwork.co.jp/

コメント

タイトルとURLをコピーしました