総務省事業中間成果:能動的プレバンキングで偽情報識別能力が向上、AI生成画像を見抜く力は7割超に改善

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総務省事業における中間成果:能動的プレバンキングで偽情報識別能力が向上

株式会社Classroom Adventureは、総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」に採択された「偽・誤情報サンドボックスを活用した実践的ゲーム型プレバンキング技術の開発・実証」において、中間成果となる実証実験を実施しました。本実証では、生成AIを活用した「能動的プレバンキング」手法が、体験者の偽情報・誤情報に対する識別能力を有意に向上させることが定量的に確認されました。

総務省事業における中間成果

開発および実証実験の背景と目的

生成AIの普及により、高度な偽・誤情報を容易に作成できるようになった現在、情報の真偽を目視で判断することは困難になりつつあります。このような状況において、従来の事後的なファクトチェックに加え、偽情報に接触する前に認知的な抗体を形成する「プレバンキング」の重要性が高まっています。本事業では、生成AIのフェイク情報を安全な環境で作り出すサンドボックスを中心とした技術開発・実証を行っています。

目的は、ユーザーが安全な仮想環境(サンドボックス)内で生成AIを用いて擬似的な偽情報を作成・検証する体験を通じ、偽情報の生成プロセスや拡散のメカニズムを構造的に理解させることです。この技術的特徴として、「受動的」に知識を得るのではなく、自らが「作成者」の視点に立つ「能動的プレバンキング」を採用し、より強固な情報リテラシー(認知的免疫)の獲得を目指しています。

システム構成図

実証実験の概要と結果

開発したプロトタイプ(α版)を用い、教育現場における実証実験が行われました。

実施概要

  • 対象: 実践女子学園中学校 3年生 38名

  • 実施時期: 2025年11月28日(プログラム期間中)

  • 検証内容: プログラム実施前後にオンラインアンケートを実施し、本物1件とフェイク3件を提示して、それぞれの「信頼スコア」の変化を測定しました。信頼スコアは、各情報に対して「どの程度本物だと思うか」を1〜7の7段階で評価した指標です。フェイク情報ではスコアが低いほど「見抜けている」状態、本物の情報では高いほど望ましい状態とされました。

今回の授業では、「偽・誤情報サンドボックス」を用いて、以下の3パターンの“よくあるだまし方”を体験・分析しました。

  1. なりすまし(AIによる顔差し替え技術): 著名人の顔をAIで広告画像に合成し、本人が宣伝しているように見せかける手口。投資詐欺や個人情報取得につながる仕組みを学びました。
  2. ものまねサイト(AIによる高度なコード生成): 寄付サイトや有名ブランドの公式オンラインストアにそっくりな偽サイトを作り、本物と誤認させる手口。URLのドメインや日本語表現の不自然さから見極めるポイントを学びました。
  3. AI生成画像: 生成AIで作った災害写真や群衆写真など、一見もっともらしい画像を「実際のニュース写真」のように見せかける手口。建物や手足の形、光と影の向きなど、AI画像特有の不自然さに注目し、真偽を確かめる方法を学びました。

授業風景1
授業風景2

定量的成果:AI生成画像への「盲信」が低下

参加者に対し、本物1件とフェイク3件(なりすまし、ものまねサイト、AI生成画像)を提示し、それぞれの信頼度を測定しました。体験後、すべてのカテゴリーにおいて信頼スコアの有意な低下(=見抜く力の向上)が確認されました。特にAI生成画像に対する信頼スコアの変化が顕著でした。

  • なりすまし :2.13 → 1.89(−0.34)

  • ものまねサイト :3.34 → 2.16(−1.18)

  • AI生成画像 :2.81 → 1.42(−1.39)

個人レベルで見ると、フェイクニュースに対する信頼スコアが向上した生徒は全体の約55%でした。特にAI生成画像については、7割超(71.4%)の生徒で信頼スコアが改善しました。

信頼度テストの比較

プログラムの満足度と学習実感

アンケートでは、プログラムそのものの体験価値についても評価が行われました。

  • 「プログラムは楽しめましたか?」に対し、「とても楽しめた」「楽しめた」と回答した生徒が97%。

  • 「フェイクニュース/偽・誤情報について理解は深まりましたか?」に対し、「とても勉強になった」「勉強になった」と回答した生徒が97%。

  • 「実際のSNSやニュースを見るときに役立ちそうだと感じますか?」に対し、「とても役立つと思う」「役立つと思う」と回答した生徒が100%。

サンドボックス型のフェイクニュース教材として、「楽しく学べる」「現実のSNS利用にも役立ちそうだ」と感じる生徒が大多数であり、学習コンテンツとしての受容性・満足度が非常に高いことが示されました。

プログラムの満足度と学習実感

今後の展開

今後は、技術の社会実装に向けた教材の最適化や、動画や音声などのマルチモーダルへの対応を進めていく予定です。

株式会社Classroom Adventureについて

株式会社Classroom Adventureは、慶應義塾大学の現役学生が立ち上げたEdtechスタートアップです。誤情報・偽情報をテーマにした情報リテラシープログラム「レイのブログ」は世界10カ国で20,000人以上が体験しています。また、闇バイトの危険を疑似体験する「レイの失踪」は、東京都・兵庫県・鳥取県などの自治体と連携し全国の教育機関に導入されています。2024年からはファクトチェック世界大会「Youth Verification Challenge」も米Google社より引き継ぎ主催しています。ゲーミフィケーションを活用した学びを提供し、2024年には朝日新聞社大学SDGs Action! Awardsグランプリ、東京都主催Tokyo Startup Gateway 2024最優秀賞を受賞しています。2025年よりUNESCO Media & Information Literacy Allianceに参画予定です。

集合写真

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