背景:教育現場におけるAI活用の課題と解決策
生成AIの教育利用が進む一方で、一般的なクラウド型AIサービスでは入力データが外部サーバーへ送信されるため、生徒の個人情報や成績、内面に関わる情報が流出するリスクが課題とされていました。このセキュリティ上の懸念に対し、TERRAISEは株式会社サードウェーブと共に、インターネットを経由せず校内サーバーのみで動作する「ローカルLLM」環境を惺山高等学校に構築しました。これにより、情報漏洩リスクのない環境が整備され、生徒が安心して自身のデータをAIに与え、深く活用できる基盤が確立されました。
実施された特別講義の概要
2025年10月30日には、生徒自身の価値観や個人情報を学習させた「パーソナライズAI」の開発およびアプリケーション実装を行う特別講義が実施されました。本プログラムでは、生徒が自身の志向に合わせて選択できる3つの実践コースが設けられ、要件定義から実装、デプロイメントまでのプロセスを体験しました。
3つの実践コース
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Cursor講義:AIアプリ開発実践講座
AI搭載コードエディタ「Cursor」および「Gemini CLI」を活用し、課題解決型アプリケーションの実装が行われました。リーンキャンバスを用いた要件定義から、自然言語によるコード生成、エラー解析とデバッグを通じた反復開発が実践され、実際に動作するWebアプリケーションが完成しました。 -
専用AI講義:自分だけのMy AI開発講座
LM StudioなどのローカルLLM環境を活用し、RAG(検索拡張生成)技術を用いた特化型AIエージェントの構築が行われました。ライフラインチャート等を用いた自己分析データを構造化テキストとして整備し、外部流出のリスクがないローカル環境で個人の詳細な価値観や経験則を学習データとして組み込むことが可能となりました。システムプロンプト設計により、個人の文脈を高度に理解したパーソナライズAIが実装されました。 -
動画生成講義:ローカル動画生成AI講座
オープンソースの動画生成モデル「Wan2.2」系をローカル環境で稼働させ、テキストおよび静止画からの動画生成(Text-to-Video / Image-to-Video)が行われました。プロンプトエンジニアリングによる映像の指示出しに加え、ステップ数やCFGスケールなどのパラメータ調整を通じた品質管理手法が習得されました。また、著作権、肖像権、バイアス(偏見)に関するAI倫理教育も徹底され、コンプライアンスを遵守した運用リテラシーが教育されました。

講義の様子と生徒の反応
講義はハンズオン形式で実施され、生徒たちは当初開発環境に戸惑いつつも、コードが動作しアプリケーションが起動する瞬間に没入しました。エラー画面を前に原因を推論する姿や、休み時間も惜しんでパラメータ調整に没頭する姿が見られました。成果発表会では、論理的に構築されたスライドを用いて開発プロセスと技術的工夫がプレゼンテーションされました。
事後アンケートでは、生徒たちのAIに対する認識や自己効力感に変化が見られました。「想像していたよりも簡単で、元々の知識がほとんどなかった私でも作れた」「AIは怖いものだと思っていたけど今回授業を通してとても生活に役立つものだと知った」といった肯定的な声が寄せられています。また、「AIに対してのイメージは最初はあまり分からず、いい印象がなかったのですが、今回の授業を通じて理解が深まったので、使う際の危険性や気を付けなければいけないことを改めて感じました。うまくAIと向き合っていけたらいいなと思いました。」と、AI利用における危険性や注意点への理解も深まったことが示されました。

今後の展望
TERRAISEは、生成AIによって「できたらいいな」が「できる」に変わる未来を目指しています。絵を描きたい、アプリを作りたい、表現したいといった「やりたいけれどできない」という壁を生成AIが取り払い、すべての人の可能性を広げると考えています。教育を通じて、生徒たちが「自分にもできる」という確かな自信と、「自分の可能性は無限大だ」という実感を得て、自らの人生を豊かにし、社会に貢献していくことを期待しています。

株式会社TERRAISEについて
株式会社TERRAISEは、「教育×AI」の領域で、安全なインフラ構築から実践的なカリキュラム提供までを一貫して支援するスタートアップです。今後も全国の教育機関に向け、ローカルLLMを活用した安心・安全な教育DXを推進していく方針です。
惺山高等学校について
学校法人山本学園 惺山高等学校の詳細は、以下のウェブサイトをご確認ください。
https://www.seizan.ed.jp/


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